今回は皆様からよくお寄せいただくコロナ禍の葬儀についてのご質問をいくつかQ&A形式でご紹介いたします。
A:新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の遺体は、24 時間以内に火葬することができるとされており、必須ではありません。(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第 30 条第 3 項、新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令第 3 条)。通常、24 時間以内の火葬は禁止されています(墓地、埋葬等に関する法律第 3 条)。
A:新型コロナウイルスの残存期間は、現時点ではプラスチックやステンレス表面で 72時間、その他の素材ではそれ以下と確認されています。また、新型以外のコロナウイルスの研究では、6~9 日を残存期間と報告しているものもあります。以上を踏まえると、必要に応じて清拭消毒を行えば、遺品の取扱いは通常どおりに行って問題ありません。現時点では、一定期間(10 日間程度)保管することにより、消毒の代用とすることも可能と考えられています。
(参考)国立感染症研究所:新型コロナウイルス感染症に対する感染管理 環境整備
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html
A:生前に使用していた病室の高頻度接触部位等については、アルコール(エタノール又は 2-プロパノール)、0.05%次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸水(有効塩素濃度80ppm 以上(ジクロ ロイソシアヌ ル酸ナ トリウムを水 に溶か した製品の場 合は100ppm 以上))又は亜塩素酸水(遊離塩素濃度 25ppm(25mg/L)以上)による清拭消毒を行います。
PCR 検査結果が陰性であった濃厚接触者の接触物等に対しては、特別な対応は不要です。遺体から漏出した体液等の消毒については、「3-3. 体液等の飛散等が起こり得る特殊な場合においては、どのように感染対策をするべきか」等を参考に対応します。ディスポーザブルの個人防護具をはじめとした感染性廃棄物は、専用容器に密閉するか、プラスチック袋に二重に密閉したうえで外袋表面を清拭消毒して焼却処理します。
葬儀、火葬の場面における接触感染の対策として、会葬者の動線に当たる部分(手がよく触れるドアノブ、スイッチ、手すり、エレベーターのボタン、テーブルやカウンター)、その他共用で使用するもの等については、消毒用アルコールや界面活性剤を含む住居用洗剤等で定期的に清拭消毒をすることが望まれます。葬儀、火葬の場面において使用したタオル、衣類、食器、箸・スプーン等は、通常の洗濯や洗浄で対策を
行います。
(参考)国立感染症研究所:新型コロナウイルス感染症に対する感染管理
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9310-2019-ncov-01.html
(参考)厚生労働省:新型コロナウイルスに関する Q&A(関連業種の方向け)
集客施設を運営する方へ(飲食店、小売店など)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou.html
A:新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の葬儀、火葬等に限らず、通常の葬儀、火葬等においても、遺族等の方、宗教者、会葬者、遺体等を取り扱う事業者が会することによって起こり得る接触感染及び飛沫感染が想定されます。これらは、一般的な感染対策でコントロールが可能であり、『葬儀業「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」』等を参考にしながら対策を講じます。
A:新型コロナウイルス感染症においては、感染症法第 30 条 2 項に基づき、新型コロナウイルスの病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は火葬を原則とすることとされていますが、都道府県知事の許可がある場合は土葬を行うことができます。WHO のガイダンスによると、感染症により亡くなられた方を火葬しなくてはならないということではなく、火葬するか否かに関しては、文化等の要因によるものとされています。
A:死後硬直で肺の拡張や収縮は起きないため、遺体を動かしても飛沫の発生はないと考えられます。
しかし、遺体を動かした際に体液が漏出する可能性はあり、それが飛沫となって飛び散る可能性はゼロではないものの、生きた感染者もしくは治療中、生存中の感染者と異なり持続的にウイルスを含む飛沫が体外に放出されることはなく、解剖のような特別の処置を行わない限りは遺体からの飛沫感染のリスクは低いと考えられます。
以上の回答は厚生労働省から明確に示されているものです。
自身の葬儀でクラスターが発生してしまっては、故人も安心して旅立つことができません。そうならないためにも、しっかりとした対策の上で、実施するようにしましょう。
ここまで、故人が罹患していた場合の葬儀、火葬について説明してまいりました。
ここからは、遺族が罹患している場合、あるいは濃厚接触者である場合について説明してまいります。
基本的に遺族であっても、罹患しており、なおかつ発症している場合には、火葬を含めた葬儀へのご出席はご遠慮いただくことが良いでしょう。
濃厚接触者や無症状の場合も、同様にご遠慮いただくことが望ましいですが、場合によっては徹底した感染対策のもとで最後のお別れの時間を設けることは、検討の余地があるといえます。
遺族が罹患していたり、濃厚接触者に認定されていたりして、葬儀への直接の出席が難しい場合には、オンラインで葬儀に参列することは十分に考えられます。
新型コロナウイルスによる感染症が世界的な大流行を見せてから2年以上が経過し、一般生活のみならず葬儀に関しても、そうした情勢に合わせた変化がありました。その変化の一つがオンライン葬儀という新しい形態での葬儀になります。こうしたコロナ禍で生まれた、新しい葬儀様式を上手に取り入れた検討が必要となるでしょう。